「名づける」のために
夫の秘密を知っている
夫の秘密は押し入れの奥にある
夫の秘密を捨てたいのに
夫の秘密はこびりついて離れない
わたしはあきらめて
夫の秘密を忘れる
忘れようとがんばる
だけどわたしのあたまの片隅に
夫の秘密がいつもある
夫の秘密は名前がない
分類されない夫の秘密は
無造作にたいせつに
押し入れの奥にしまわれる
夫の秘密は浜辺のくらげ
夫の秘密は蝉の抜け殻
夫の秘密は踏まれた南天
夫の秘密は放置自転車
夫が家を空ける時
夫の秘密とお茶を飲む
夫の秘密に名前はない
夫の秘密は押し入れの奥にある
夫の秘密を捨てたいのに
夫の秘密はこびりついて離れない
わたしはあきらめて
夫の秘密を忘れる
忘れようとがんばる
だけどわたしのあたまの片隅に
夫の秘密がいつもある
夫の秘密は名前がない
分類されない夫の秘密は
無造作にたいせつに
押し入れの奥にしまわれる
夫の秘密は浜辺のくらげ
夫の秘密は蝉の抜け殻
夫の秘密は踏まれた南天
夫の秘密は放置自転車
夫が家を空ける時
夫の秘密とお茶を飲む
夫の秘密に名前はない