チタキヨのヨ

妙齢女だらけ演劇ユニット「チタキヨ」の作・演出担当、米内山陽子のあれこれ

春待雪

普通の記事を書くのがなんと久しぶりなのでしょうと言うほど久しぶり。
日々はめまぐるしく変化してゆくのに、定着せずにただただ受け流してゆくような毎日を送っていました。

息子が四月から幼稚園へ入る。
それに併せてとにかく作らねばならない袋の数々。
袋ってこんなにいるものなの?とか思いながら、母の手を借りてちくちく。

息子はよく喋り、よく食べ、よく寝て、よく反抗する。
生まれてこのかた、母であるわたしは芝居の仕事でしょっちゅう家を空け、父である夫は起きたらもう家を出た後で、眠った後に帰ってくる。
息子の成長を結構見逃しているのかもしれない。
ある日突然出来るようになっている、と感じることが多い。
そんなことは、たぶんないのに。

春から使う袋の数々を作りながら、息子が産まれる前にベビー服を洗った日のことを思い出す。
あの時は秋だったけれど、春を待つような気分だった。
母親としては優等生ではないけれど、息子のこれからのことを楽しむことはできる。
きっといつかババアと呼ばれ、うぜえと言われ、口もきかなくなって、誰かと心を重ねていく。
20年近くかけて、息子の巣立ちの準備をしている。
さびしいけれど、悪くない気分だ。