チタキヨのヨ

妙齢女だらけ演劇ユニット「チタキヨ」の作・演出担当、米内山陽子のあれこれ

10年

全くの私事なんですが、先日入籍して5年を迎えた。
男女交際が始まってからは10年経つ。
夫とのクロニクルを考えると、10年前から始めないとおさまり悪い。
結婚は、クロニクルの中での、ひとつの事件ではあったが、出産のほうがもうちょっと規模の大きい出来事だった。

幼い頃に「10年前」という単語を会話に組み込む事に憧れていたが、もうすでに20年前も記憶にある始末。年を取った。
10年前とやっていたこともわたしを取り巻く人も環境も随分変わった。
子供も生まれたし、その頃の劇団とは別の劇団をやっている。
ただ、10年前から変わらない事がひとつ。
「過去に戻れるとしたらいつ頃に戻りたい?」っていう質問、ありますよね。
あれ、好きじゃない。どこにも戻りたくない。今が一番いい。
10年後もそう思っていたい。

しかし、子育てとは人生をやり直す事に似ている、と諸先輩方から実感を込めて語り継がれている。
つまりわたしは図らずも子供時代を息子を通してやり直す事になった。
息子なので、夫の方がこの思いはひとしおかも。
すこしずれたリプレイ。
そして倍音のように重なるわたしのこれから。

やっぱり、あの頃に戻りたいと思うようには、生きないようにしたい。
10年後もそう思っていたい。